グローバルな舞台で活躍するお二人の共著。
大前さんの経営コンサルタントとしての知見、柳井さんの経営者としての知見がそれぞれの経験に基づいてわかりやすく紹介されています。大前さんの前著からの引用から、過去の主張が今ようやく一般化してきていることを知り、改めて「現場主義」と「問題解決力」の大切さを実感。
アジア、欧米、BRICSといった話題の市場だけではなく、コロンビア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧やアフリカ、中東地域についても広く理解することができます。
これからの政治、経済、そして教育が向かうべき方向について考えるために必須の一冊です!
(あまりにも感動して、いつもより引用文が多くなってしまいました。。。)
【気になったキーワード&引用文】
・日本人は情緒的な民族でロジックが苦手な反面、繊細な美意識など感性の面では優れている。洗練されたものや本当に良いものを見分ける目を持っています。
・例えば、マニュアル化しにくい"おもてなし"の文化などをアドバンテージとして活用すれば、付加価値はもっと高まる
・もしわが国が国債デフォルトの危機に直面したら、日本が保有する約65兆円もの膨大な米国債を売り払わざるを得なくなり、今度はアメリカが窮地に追い込まれます。
・そうなった場合、国内では、メガバンク、ゆうちょ銀行、地方銀行はメルトダウン→預金封鎖→ハイパーインフレ→お札の大増刷→円の価値低下になる。このハイパーインフレに耐えられるのは、「金」「不動産」「外貨通貨」など。
・敗戦の焼け野原から見事に復興し、世界トップクラスの経済大国になったのは、国民と民間企業の努力の賜物なのに、"お上"つまり官僚たちは、まるで自分たちの手柄のように錯覚している。
・(政府による)行き過ぎた保護と優遇は"お上頼り"の甘い体質を増長させてしまい、結果として競争力の低下に繋がる。現に過去、保護政策で生き返った産業は一つもない。
・税収が37兆円しかないのに92兆円を使ってしまう2010年度予算は、年収が370万円なのに、920万円も使ってしまうようなもの。しかも、この家庭には1億円近くの借金があるのです。その返済のメドも立たないのに、毎年400万円の新しい借金をしている。
・企業の場合、どんな会社にするのかというビジョンが何よりも大切です。そして、「そのためにはどんな商品が必要なのか」「その商品を開発するためにはいくらかかり、その資金をどこから調達するのか」「どの人材を配置するのか」などといった議論と決断を重ねていく。
・日本企業では「失敗」という最も貴重な経験が共有されていない。だから、他の会社だけでなく、同じ会社の中でも別の事業部が同じ失敗をすることが多い。
・「コーポレート・メモリー」を重視する米国の企業では、1つのプロジェクトが終わると、時間を費やして「学んだこと」「取引してはいけない企業」「資材購入してはならない企業」「使ってはいけない人々」などの様々なデータを集めて蓄積する
・借金を返すために、国全体が「稼ぐ力」をつけなければならない。つまり、「稼ぐ」ことをもっと推奨するような政治、行政こそが今求められている。
・国家レベルで「稼ぐ力」をつけた良い例が、シンガポール。税率を安くしたら、世界中からマネーと優秀な人材が集まって繁栄し、結果として国家財政も潤った。
・国土が日本よりも小さくて、人口が少なく、資源も乏しい台湾やシンガポールは、成長しよう、変わろうというエンジンが止まれば衰退してしまうという危機感を持ち続け、「どうすれば世界で生き残っていけるか」と常に模索している。
・自分は会社の歯車にすぎないと思っていたら、周囲もそうとしか見てくれない。もっと自分自身の可能性に期待して、歯車以上の仕事にチャレンジすればいい。
・おそらく日本のビジネスマンは、仕事だけでなく、プライベートにおいても目標を持っていないのではないか。つまり、「自分のやりたい人生」を生きていないがために、とにかく「サラリーマン」という看板を維持することに必死で、プライベートも我慢するという悪循環に陥っている。
・日本にロールモデルがいないのなら、海外に求めるよりほかありません。少なくとも「あんな生き方をしたい」と思えるような人は、日本よりずっと多いはず。
・若いうちにビジネスマンとしての人生が決まってしまうような国は、おそらく日本だけ。欧米でもアジアでも、いわゆる"就職浪人"は当たり前。(中略)少し回り道をしたに過ぎず、努力次第でいくらでも取り返せるから。
・サムスングループの人材育成→アジアや中東、ロシアやブラジルに「とりあえず現地で暮らしなさい」と若手社員を送り込む。派遣されるのは毎年数百人、期間は1年間。その間、給料は支払われるが、実質的な仕事はせずに、現地での人脈作りや語学力の向上、歴史・文化・風習の勉強に励む。現地のサムスンの事務所に立ち寄ることも許されないし、会社が手を差し伸べることもない。
・個人金融資産と不動産資産をあわせれば、国民の資産は2500兆円に上り、税率を1%に設定しても25兆円の税収が見込める。法人部門を加えれば、さらに10兆円ぐらいになる。
・イギリスの例では、食料品や日用品(書籍や子供服など)を除く商品に17.5%が課税されている。VATであれば、日本で生産される付加価値の総体であるGDP500兆円に税率をかけることになり、仮に10%としても50兆円の税率が見込まれます。
・資産課税で25~35兆円、VATで50兆円、計75兆円~85兆円の税収を得れば、所得税と法人税を全廃しても国家運営の不安はありません。
・任期6年間で、参議院1人につき実に4億2000万円もの費用がかかる。参議院にはこういう人たちが現在242人いて、年間約170億円かかっているわけで、その役割とこうしたコストの対比、すなわち費用対効果を吟味する必要がある。要するに「役に立っているのかどうか」。
・国民のほうがむしろ圧倒的に先に進んでいる部分も多い。国民が直接国政に参加し、「集団知」「集合知」を反映させることこそが、国際競争を勝ち抜き、「稼げる国」にする最も効果的な方法
・戦後、日本が工業化社会で高度成長するためには、従順で均質な学力レベルをもった人材を大量生産する教育が必要だった。しかし、もうそれは時代遅れになっている。
・また、少子高齢化と人口減少で国内マーケットがやせ細る中、グローバル化する経済の波に乗って世界へ出て行くことが、日本の「稼ぐ力」を高め、明るい未来を描く条件になるはず。そのためには、将来を見通す洞察力を持った「ビジョナリー・リーダー」を養成する教育が絶対に不可欠。
・リーダーシップのある問題解決型の人材を育成する教育に力を入れるべき
・フィリピンはアジアの中で最も会計士が多い国で、そのほとんどが国外に出てアジア諸国の企業の財務を任されている。また、華僑の歴史を持つ中国は近年、欧米人が用心して手を出さないアフリカにすさまじい勢いでなだれ込んでいる。そして、安価な中国製品をさばくマーケットとしてだけでなく、現地で公共事業や資源開発などの国家プロジェクトを担っている。
・世界という道場で武者修行を重ね、どこにいてもリーダーシップが発揮できる力をつけておけば、再び日本にチャンスの風が吹いてきた時に、帰国した彼らが今の日本を根本から変え、復活させる原動力になるに違いありません。それを期待するツーウェイ(ニ通り)の意味を『この国を出よ』に込めている。
・自分に投資して「稼ぐ力」を強化しようとは考えず、安定した大企業に勤めてそつなく出世の階段を上り、安定した生活を送りたいという国内安住志向の人間は、これからの時代は"不良在庫"でしかない。
・私が言う「裸にした日本人」「開き直った日本人」とは、役人支配のタガが外れた日本人、もしくは役員が歯牙にもかけなかったことで逆に自由に活動できた日本人です。ということは、役所を信頼したり当てにしたりしなければ、全ての日本人の中に秘められた優れた能力が目を覚ますということ。このことに自信を持ってほしい。